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桜並木の下、ゆるやかな坂を
今日も自転車でかけ降りる
僕の好きな人。
入学式の日、迷子になった
僕を助けてくれた。
僕が通うことになった
平成第一高校の生徒会長の
いのお先輩。
学校前にある、この坂は
生徒全員、登下校に使う。
生徒みんなに笑顔で挨拶しながら
坂をかけ降りる先輩は
名前を知らない僕にも
毎朝挨拶してくれる。
「おはよう」
ほら、ね?
「知念くん^^」
え…?
今、先輩
僕の名前、呼んだ?
「ごめん、昨日君の
生徒手帳、拾ったから…」
一瞬、先輩の言葉の意味が
わからなかった。
「知念くん、生徒手帳
落としたでしょ?」
ハッ、と我に返った僕は
ポケット、かばん
生徒手帳を入れそうなところを
調べたけど、なかった。
「すみませんっ」
「いいよいいよ^^」
「持って帰るのはダメだと思って
生徒会室で保管してるんだ。
昼休み、取りにきてもらえる?」
「あ、はいっ」
「じゃあ、後でねっ」
そう言って、先輩は
門をくぐって行った。
「先輩と、話しちゃった…//」
昼休み、また会えるなんて
夢みたいだな。
自然と緩む頬を抑えながら
僕も門をくぐった。
end
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