平和な1日だったはず

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「あっ…………」 明らかに動揺してる俺の横を正体不明の女の子は大きなキャリーバッグに入った荷物を転がし通り過ぎていく。 「ひっ!」 軽い悲鳴に近い声をあげ後退りしてしまう。結果、女の子の侵入を許してしまった。 「あっ!?…えっ…?誰?」 「お風呂はどこ?」 やっとの事で振り絞った言葉に被せるように質問が投げ掛けられた。まったく予期せぬ質問に返す言葉がでてこない。互いに沈黙が玄関の狭い空間を支配した。その沈黙を打ち破ったのは言葉などではなく想像を絶する威圧感…いや殺意に近い眼光であった。 「…真っ直ぐ行って突き当たり左…」 場所を確認した女の子は、振り向きすらせず目的地に向かい歩き始める。少し放心状態に陥っていた俺は、ただ女の子の後ろ姿を見ているだけだった。 開いた口が塞がらず数秒は経っただろうか。風呂場の手前まで到着した女の子が急に振り替える。そしてが思いもよらない言葉を発した。 「…布団ひいておいてよね。私、疲れてるからすぐに寝る」 「……………」 再び口が開く。 「返事は?」 確実な殺意を感じた俺は… 「はい!」 兵隊なみの返事を返してしまった。
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