平和な1日だったはず

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「寒っ!?まだ11月頭なのになんだよ この寒さ!?」 冴えない男の独り言が寒空に響き渡る。 ブレザー姿に薄手のコートを羽織っているのその男は体の体温を守るように体を縮みこませる。 174cn 65kg 中肉中背 顔もいたって普通の男子高校生が、この話の主役なのであった。 北海道 札幌市にある私立陵南高校2年 藤川 琢磨 現在親の都合で絶賛独り暮らし中! 高校生で独り暮らしと言うのが特徴ぐらいで いたって普通の高校生である。と自分では思っている。 ただ一つの最大なる弱点を除けばだが… この弱点が数時間後には俺を地獄の底に落とす事は予知能力の持たない俺には想像すら出来なかった。 つまるところ今現時点ではいつもと変わらず、いつものように夕飯を買い出しに常連と化したコンビニに寄る。 『…自炊しないとダメかな…さすがに毎日コンビニ弁当だとな…』 そんな事を考えながら、週変わりの弁当を手に取り、ちょうど誰も並んでいないレジへと向かう。 レジに立つ男子店員とは軽く会話するぐらいの常連だ。店員も俺に気付きアイコンタクトをするようにレジに向かい到着する一歩手前で横から違う客がレジを占拠してしまった。 「あっ!?」 「あっ!?」 小さな声だが俺と店員の声がハモる。 その瞬間に隣のレジから女性店員があきらかにレジで待つ形になった俺を呼ぶ声が店内に響いた。 「お待ちのお客様、隣のレジへどうぞ」 他にレジ待ちをしている客は誰1人と居ない。確実に俺に狙いを絞ったその言葉を無視出来るほど冷たい人間にはなれなかった。 別にこの男子店員と会話がしたかった訳ではない。ただ、この店で俺を呼ぶ女性店員が居るとは思ってもいなかった。
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