平和な1日だったはず

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「ただいま~」 当然の事ながら返事は返って来ない。逆に返ってきたほうが怖いが。 独り暮らしには広すぎる一軒家。持ち家である。2年前父親の海外長期出張で俺は日本に残った。 高校生にとっては夢の独り暮らしだが2年も独り暮らしだと色々と不便を感じる事もあるが、それよりも自由が幸せだった。 父親の出張に1歳年下の妹がアメリカに付いていった。いつ日本に帰れるかも解らない出張なのに妹の行動力には兄ながら尊敬を覚えてしまう。が、感傷に浸る事は無い! 『自由最高~独り暮らし万歳!!』 率直な今の感情である。 ちなみに母親は6年前に病気で他界している。 これが藤川家の家族事情だ。 多分、母親と妹が一緒に暮らしていたら…今の俺は存在しないだろう…サヨナラ現世…生きてはいられなかったと思います。不謹慎かもしれないが素直な気持ちだ。 買い置きのカップ麺の蓋を開け、お湯が沸くのを待つ間ふと気になる事を思い出した。 「そういえば、ここ半年ぐらい親父から連絡ないな…まぁいいか」 妹からは頻繁にメールが来るが内容はロクでもない。見た目も性格も可愛い妹なのだが…ある1点が病気みたいな妹だった。
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