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「うぃーーーーっす!」
突然後ろから、タックルをくらい俺は吹き飛ばされた。
バイクにでも跳ねられたのかってぐらいの衝撃に、受け身をとることもできず胸から叩きつけられる。
「また一緒のクラスっすね!やっぱ運命感じるなー」
あまりの痛みに地面でのた打ちまわる俺の側で、女子が弾けるような笑みを浮かべていた。
神様、僕は彼女とだけは同じクラスになりたくなかったです。
風巻鈴。天使のような笑みで俺をど突きまわす、天敵だった。
本人的には悪意は無くあくまでスキンシップのつもりでいるのだからタチが悪い。
マジでタチが悪い。
そんな彼女を前に俺がとるべき行動は一つだった。
俺は服についた埃を払いながら立つと、必死で笑みを浮かべる。
「俺は運命とか微塵も感じないけど今年もよろしく。じゃあ、俺帰るわ」
早口で言うと同時に地面を蹴り廊下を駆け抜ける。
振り向くな俺、振り向くとまた地獄を見るぞ。
「明日ー、新入部員の勧誘するんでよろしくーっす!」
全速力で風巻のところに駆け戻る。
「はぁっ、はあっ……俺は……帰宅部です」
聞き流せるわけがなかった。
俺はどこの部活動にも所属してないし、風巻もまた無所属だったはずだ。
そんな俺とコイツがなんのために新入部員の勧誘なぞしなければならないというんだ。意味がわからん。
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