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「なぁ、結婚しないか?」
「へ?」
あぁ、なんて色気のない返事。
気だるいベットの中で突然プロポーズしてきたのは恋人の浦田龍臣29歳。
いや、だってさ。
コトを終えて余韻に浸ってたとこに、急に言われましても。
気だるいベットの中で突然プロポーズされた私、相沢 密(あいざわ みつ)26歳。
ここは喜び、彼に抱きつくべきなんだけど………固まっちゃいました。
「お前、その反応、俺の予想通り。」
吸っていた煙草を灰皿に押し付けながら苦笑いする龍臣に、なんだか申し訳なくなる。
「えっと、あー、予想通りでゴメン?」
とりあえず可愛げのない反応を謝り、考えてみる。
……………うーん。
「いや、ちょっと言ってみただけだからさ、ゆっくり考えろよ。俺も急いでないし。ただ付き合ってもう3年だし、俺も会社継がなきゃいけないしするから。頭の中に入れといて。」
そう言って優しく抱きしめてくる龍臣は文句なしの男性だと思う。
ルックス良し。
性格良し。
収入良し。
製薬会社の社長のご子息様のくせに、飾らず、私を理解し受け止めてくれる。
出会った頃から変わらぬこの素敵な恋人は、間違いなく素晴らしい夫になるだろう。
……………でも。
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