居続けるその理由

2/4
前へ
/13ページ
次へ
一体、どれくらいから、彼はあそこに立っているのだろうか。 私のマンションから、彼は見えた。 マンションから反対側の歩道に彼はずっと立っている。 5階建ての古いマンション。私はその3階で生まれ、育てられた。 特に何の問題のない家庭だが、あるとすれば私自身だ。 心臓病。そんな人なんてたくさんいるが、私はそのたくさんの内に入っている。 物心つく前に病気は発生し、私は人間の人生における楽しみを半分失った。 「別に構わないよ」 私の前で泣く親に私はいつもそう言う。 そして、ふと気づくと自室からの景色が私における世界の全てとなった 同じ同年代のみんなが中学に上がるくらいになった時、私は彼を見つけた。 もちろん最初は待ち合わせだったりしてるのだろうと思っていた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加