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叶が眠り、タスク達が去った後……。
叶達のいた場所に、甲冑を着た剣士と大きな鎌を持った男が立っていた。
「獣に先を越されたか…」
と、大きな鎌を持った男が言った。
それには答えず、剣士は馬に似た動物をタスク達が走り去った方とは別の方向へ向けて走り去った。
彼らの剣と鎌の柄にはある紋章が刻まれていた。
薄い水色の三日月の前に三本の剣が交差していて、一番後ろに三本の輪が交差している。
これは、帝国の紋章だった。
これから先、叶に衝撃的な事実を突き付ける帝国の紋章が。
夢の中で、どこかから声が聞こえてきた。
『叶――、なんでここに来てしまったんだ』
それは、行方不明となっている愁の声だった。
夢の中とはわかっていても、叶は辺りを見回し愁の姿を探す。
「どこ?どこにいるの、愁?」
しかし、愁はそれに答えず
『早く帰るんだ。ここにいてはいけない。もうじき帝国が―――』
だんだん愁の声が小さくなっていく。
「待って、愁。愁――!!」
叶はそこで目を覚ました。
体中が汗でびっしょりとしている。
気が付くと、叶はいつの間にか布団に寝かされていた。
起き上がって周りを見ると、どうやらここは誰かの家らしい。
木製の丸いテーブルに、タンスも見える。
「夢……だったのかしら?」
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