カタリ

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叶がそうつぶやくと、隣から声がしてきた。 「大丈夫か?なんだかうなされていたようだが…」 声の主はタスクだった。 「…えぇ。夢見が悪かっただけだから……」 タスクは少し元気の無い叶を見て 「お前、風呂にでも入って来いよ。汗でびっしょりしてて、気持ち悪いだろ?」 と言った。 叶はしばらく考えて、 「じゃあ…そうさせてもらおうかしら」 と答えた。 そこで、タスクはふと何かを思いだしたように 「そういやぁ、まだ名前を聞いてなかったな。オレはタスク・オーウェン。タスクで良い。お前は?」 と、自己紹介をしてきた。 「叶…。秋月叶」 そう答えると 「へぇ、なかなか良い名前じゃねぇか」 と言って、タスクは少し微笑んだ。 そして 「さ、風呂だったな。こっちだ、ついて来い」 そう言って、叶の手を引いて家の外へ連れ出した。 一歩家の外へ出ると、そこは石の芸術品で溢れかえっていた。 家という家は全て岩をくり抜いて作られていて、表面は綺麗に磨かれている。 さすがにドアは木製だったが。 .
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