カタリ

5/5
前へ
/9ページ
次へ
長の名は、クレイ・バルモアというらしい。 “らしい”というのは本人から聞いたのではなく、風呂へと行く間タスクから聞いたのだ。 (あの後、すぐに叶とクレイは別れた。長は本来なるべく外へ出てはいけないらしい) そして、タスクに連れられて叶は銭湯のような所へやって来た。 「ここが……お風呂なの?」 不思議そうに叶が言った。 が、それは無理もなかった。 煙突と暖簾のマークでかろうじて風呂だと認識できるドーム型の建物。 それが叶の目の前にどっしりと建っていた。 「あぁ、そうだ。急がないと式が始まっちまうぞ」 そう言いながらタスクは叶を建物の中へ引きずり込んだ。 建物の外観は白く清潔感に溢れていて、さっぱりした感じがしていた。 しかし、そう感じたのもつかの間。 建物の中へ一歩足を踏み入れると、正面に日本語で『ついに現れた!精霊の花嫁が我々の元に!!』と書かれた幕のようなものが豪華な花細工と共にあった。 .
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加