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四月、四季のなかで最もと言って良いほど出会いの多い季節。
けれど彼にとってそれは雲のような絵空事だ。
『・・・・おはよう』
そこに誰かがいる訳でもなく、仮にいたとしてもそれに話すわけもなく、彼はこの平凡な毎日に話しかけるように呟いた。
彼の名は白石計斗(しらいしけいと)。本日より高校二年生。成績は優秀、運動神経も良好。
そんな彼が求めるものは平凡と平和。
誰にも、何にも関わることなく毎日を穏便に過ごすこと。
それこそが彼が望む全てである。
今日は学校の始業式。お世辞にも良いとは言えない生活を休みの間していた計斗は若干の身体のだるさを感じながら家を出た。
『行ってきます』
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