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話は終わり、子供達を見送ってシャオは立ち上がった。
熱い太陽が自分を見下ろしジリジリと照りつける。
此処は夏の国。
夏の王クロノスが治める灼熱と活気に満ち溢れる国だ。
彼の王は持ち前の気さくさと民想いの性格からか大変好かれている。
そしてシャオはその王の身の回りの世話をしていた。
とは言え王は直ぐに脱走……街に視察に行かれるので体力の無いシャオは着いていけない。
「……熱いなぁ」
爛々と輝く黄金の太陽。
その黄金は彼の王に似ていて、
「お兄ちゃん」
「!」
突如、背中に悪寒が走り幼い声が聞こえた方を見る。
だが自分の背後にいたのは何処にでもいる様な子供。
「顔色悪いよ?
大丈夫?」
「……大丈夫だ」
首を傾げながら訪ねてくる子供に一泊置いて頷き答える。
すると子供は笑いながら良かった、と答えて走り出し雑踏に紛れて見えなくなった。
(一体何なんだ……?)
僅かばかりの疑問と予感めいた不安を覚えながら子供が消えた方向を見つめ続けた。
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