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そう言って自分より小さな手に引っ張られ、その場から逃げる様に走った。
因みに男は股の間を押さえて悶絶している。
何だか凄く痛そうだった。
「ここらへんで大丈夫だろ」
そうして走って逃げていき少ししてシャオの手を引っ張っていた人物が足を止めた。
葡萄色の艶やかな髪をしている少年にシャオは見覚えがある。
「ルカ君、だっけ?
ありがとう」
「別に気にしなくていいよ。
たまたま通りかかっただけだからさ」
以前、王様に助けられた少年ルカ。
それ以来王様の出現ポイントに度々現れるらしい。
自分はあまり会った事はないが綺麗な葡萄色の髪をしていたので印象に残っていた。
「で、何であんなところにいたわけ?」
「あー……道に迷った?」
「何で疑問系?」
呆れた様に溜め息を吐く目の前の少年に少しだけムッとし言い返、
「だって宮殿までの道に道が一杯あるから」
「宮殿は大通りに出て真っ直ぐ行ったら着くんだけど」
「…………」
せなかった。
何か悲しくなってくる。
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