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「戦友か…」
手紙を読み終えた俺は、フッと笑ってしまった。
「相変わらず、鈍感な奴だよ…。 亜希ちゃんは…」
俺が、論文を書くために、渡米してから3カ月が経とうとしていた。
学生時代に、留学した経験もあり、生活には、さほど不便は感じなかったが、仕事をしながらの研究ということもあり、心身共に、かなりの疲労を感じていた。
そんな時、亜希ちゃんからのエアメールが届いた。
別に、メールでも良さそうな内容だったが、意外と律儀な亜希ちゃんだけあって、綺麗な文字で丁寧に書かれた手紙は、俺をホッとさせた。
あいつとも、うまくいってるみたいだし、もう大丈夫だろう…。
そう思いながらも、まだ心のどこかで亜希ちゃんを忘れられずにいる俺がいることも、紛れもない事実だった。
俺は、いつからこんな女々しい男になったんだろう…。
付き合った女(ヒト)だって、普通にいた。
けど、結局いつも何かが違う気がして、別れてしまう。
そう、多分…あの時から…俺は、亜希ちゃんだけを、想い続けているんだ。
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