2.空が割れた日

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* 目が覚めた場所は真っ暗な世界。 空を見上げると、 お月様の光がやけに眩しかった。 「花桜?  舞?」 暗闇に手を伸ばして探りながら、 親友の名前を紡ぐ。 さっきまで、 三人で一緒にケーキを食べに行こうって 話してた二人は……そこに居ない。 えっ? 暗闇に視界が慣れ始めた頃、 私の目はテレビの中の見慣れた景色を映し出す。 何? その場所はまるで時代劇のセットにでも 出て来そうな世界。 肩から掛けた、 鞄の持ち手を握る手に思わず力が入る。 あっ、携帯。 制服のポケットに潜ませてある、 携帯電話に思わず手を伸ばす。 電源は入っているのに、 電波は届いていない。 待ち受け画面の電波レベルを示す 表示は……一本の棒すら立ってなかった。
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