3.真っ白な世界 

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深く息を吐き出してゆっくりと目を開くと、 周囲をキョロキョロと見渡す。 畳……?。 布団の上で体を起こすと体に痛みが走った。 「気がついたのか?」 襖が突然開いて、隣の部屋から入ってくる男の人。 「海岸で助けて以来  眠り続けて……」 えっ? 海岸で助けた? 眠り続けてた? 私の前に腰をおろしてゆっくりと手を伸ばして 髪に触れる……その人。 ……貴方は誰ですか?…… 目覚めたところは知らない場所。 そして目の前に座ったその人のことも 私は知らない。 気が付いたらこの部屋で寝かされていた。 「名前は?」 その人に尋ねられるものの 何も思い出せない。 靄(もや)がかかったような真っ白な世界が、 私を包み込む。 何かを考えようとすると頭痛が酷くなって 両手で頭を抱え込みながら首を振る。 「おいっ。  何やってんだ?」 その人の声が遠くで微かに聞こえた気がしながら 私の意識はまだ遠のいていった。
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