4.子猫と呼ぶ人 

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「いやっ。    降ってきたの、  花桜ちゃんだけだし。  オレは、山崎」 名前を名乗った、 山崎さんに初めて頭を下げた。 「山崎さん、  ここは何処なんですか?」 「何処って、  文久二年の京」 文久二年? えぇーっと何時代だった? でも……現代じゃないことだけは 確かだよね。 「それでは山崎さん。    いろいろとお世話になりました。  ごきげんよう」 にっこりと笑って その場を歩いていく。 「んで、お前……そのまんま、  どこ行くの?」 気が付くと私の目の前に音もなく着地して、 真っ直ぐに見据えたまま声を発する。 えっ? 今……着地音なかった。 それに……この身のこなし。 さっきの屋根の上での 戦闘にしても……強い……。 「決まってません。  どこに行くかなんて  わかりません。  でも……行かなきゃいけないんです。  友達が二人、  私を探してくれてるはずだから」 そう。 舞も瑠花も、 ちゃんと見つけなきゃ。 ちゃんと見つけて、 三人で……この世界から帰る道 見つけるんだから。
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