「もうひとつの真実」

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また記憶が甦る。 彼女は、僕の大切なものばかりを僕から取り上げる。 彼女の意思とは関係のないところまでも・・・。 僕が小学3年生・・・のころだったのか。 そのころ父も母も仕事が忙しいらしく、なかなか僕は両親に会えなかった。 でも母は職場に連れていってくれたり、美味しい料理店を見つけたからと言っては連れ出してくれた。 僕が自転車に跳ねられ足を骨折して1ヶ月くらい入院したときも仕事が忙しいのに朝昼晩と顔を見せに来てくれた。 そんな母だったがそれでも3日間来なかったときがあった。 姪っこが心臓の手術するから手伝いに行ってくるということだった。 彼女のことだったと思う。 それでもその間、父は僕の病室に一度も来なかった。 そのころ話の相手はもっぱら爺やだった。
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