「もうひとつの真実」

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トク爺は先代から引き続きの当家の執事で幼い僕にとっては何でも知っている物知り博士だったから爺やのことを幼い頃は「爺ちゃん先生」と呼んでいた。 爺ちゃん先生に父や母のスジュールを聞いてはOKな日にジャズ喫茶へいっしょに行くのをおねだりした時期があった。 あるときその帰りに近所の土手に車を停め、母と紙飛行機の飛ばしあっこをした。父はタバコを吸っていた。 母の白い紙飛 行機は、茜色の大空を大きく切り裂いて飛んだ。
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