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トク爺は・・・
一瞬躊躇ったが・・・
「承知しました。」
トク爺はゆっくりと布団をめくった・・・。
「・・・。」
・・・僕は意識を取り戻した自分を呪った。
この呪われた血族を呪った。
そこには9歳のころのままの自分と、手足の無い・・・
・・・ダルマ・・・
・・・のような身体が・・・
横たわって・・・いた。
「パンノニアの死神に持っていかれた・・・」
僕は・・・彼女と出会っていなかった?!のか・・・。
「トク爺・・・また深く眠らせてくれませんか。今度は40歳くらいになった【僕】に出会えるように・・・
出会ったときのままの幼女の姿でも、どんな彼女でも死神でもかまわない。
僕は誰かに愛され続けたいんだよ・・・死ぬまでずっと。」
彼女に
もう一度愛されたい愛したい・・・。
そして、瑠璃色の瞳を閉じた。
「・・・承知しました・・・」
トク爺は看護婦さんを呼びに
部屋の外へ出た。
しばらく花瓶のコスモスの香りと静寂に包まれていた・・・
コンコンコン・・・コン・・・。
ノックをして看護婦さんが入って来た。
「はぁーい。」
「それではいつものしまぁすぅねぇ。」
「 穆(ぼく)くん少し痛いですぅよ。 はぁぁぁい。」
「 注射しますぅすぅ・・・ 。」
そういうことか。
そよ風が身体を包む・・・。
僕は・・・泣いているのか・・・笑っているのか…。
死神たちが笑っているのか…。
いつまで続くの…
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