人と妖怪

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人と妖怪

「願いは…、四つ。全て、霧を払い飛ばしてほしい…とのこと。」 「毎日飛ばしておるではないか。」 「…それが、川辺ではまだ濃い霧が、と。」 「仕方あるまい。わしに水辺で起きるものをどうにか出来るはずがなかろう。」 鴉天狗は不機嫌そうに凛次郎に言うと、黒い翼を少し羽ばたかせた。 凛次郎は紙を折り畳み、懐にしまい込むと賽銭の入った巾着袋を鴉天狗へ渡した。 「ご苦労。…まあどうにかしてみよう。」 扇を手に取ると鴉天狗は本殿から出て行った。 「何だかんだ行って、どうにかしてくださるのが天狗様の良い所ですね。」 「そうかあ?いっつも文句言ってんじゃん。」 優しく微笑む凛次郎の顔をふて腐れたような顔で鳥居は見た。
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