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「…まああいつは空気を読まん、せっかく長い時間かけて姉貴に恥を忍んでハーゲンダッツ奢ってようやく作ったムードも茶化されて終わっちまった」
「…さすがヘタレ」
「誰から聞いた」
「黙秘権です」
「…まあいい、あたりはつけてる。
そんな感じで打ち明けられるはずもなく、カッコもつけられないのさ。
あいつ、湯宮麻美の前じゃ俺は」
やたら太陽が熱く照りつけている金曜日。Tシャツも少し汗ばんでたな。
ジメッとした空気とその時の俺は似ていたかもな。いつまでも乾きやしない。
冷房を求めて逃げ込んだコンビニ。そこにはそれはそれは懐かしい漫画があってな、俺と麻美が小学生のころから好きだったやつ。
なんとなくアイスと一緒に買っちまって公園で読んでみた。
やっぱしあんま面白くはなかったけど、麻美となら笑えたかも。
「家隣同士なのにどうしていかなかったんですか?」
「どうして知ってる」
「プライベートです」
「こっちのプライベートがさらけ出されてるんだが!?」
「それはそれとして、そういうとこ踏み出さないのがヘタレたる所以ですよね」
「お前の辞書には敬うって言葉はないのか?」
「媚びない、がモットーです」
「……話続けるぞ」
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