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まあ親友だし、学校内外でもよく一緒にいるからさ、あいつの楽しそうな顔なんてそりゃもう何回も見る。
その度にその笑顔も全部俺だけのものにしたかった。俺自身麻美と来宮の応援してるのにな。
…こんなとこがお前や姉貴に女々しいとかヘタレとか言われる原因かもな。
まあそれはともかく、笑顔をみるたび、時間がとまるなり世界が終わるなりして一生この瞳に焼き付けられないかな、って思う。
麻美とのインタビュー中に言ったが、俺は写真が好きでな、…そう古めかしいフィルム型の。
それでもって笑顔を永久保存しようと思ってファインダーを覗いたんだ。
するとな、あいつの姿が、笑顔が俺が想像してたのよりずっとずっと遠く感じたんだ、手なんて全然とどきやしない。
『勝手に写真とるな~、しょーぞーけんだ~』
『肉体的な意味だろうと精神的な意味だろうとガキの笑顔は絵になるんだよ』
『ロリコンなの?』
『一生言ってろ』
んで、思ったのが、麻美だっていつかは誰かと俺の前から消えちまう。
まあ来宮は信頼できるし、どこぞの馬の骨よかまし。
「先輩、なんかお父さんみたいです」
「周りが馬鹿ばっかだから相対的に大人に見えるだけだ」
麻美が上を向いたから、釣られて俺も上を向いた。
ジェット機が俺と麻美の間の青い空を真っ二つに割ってった。
夏が、向こうの空へと飛んでいき、季節は去っていった。
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