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「次!澤田 鉄治(サワダ テツジ)!」
名を呼ぶ壬生浪士組副長の土方は、立ち上がって前に出る飄々とした男を睨み付けるように見た。
嬉々とした表情には、余裕さえ伺えるその男。
もしかすると、余程の剣術の腕があるのかもしれない。
そう思いながら、土方は次に相手となる沖田を見た。
天才と言っても過言ではない腕前を持つ壬生浪士組幹部、沖田 総司。
入隊試験といえど、手を抜くことをしない彼を、この男は打ち負かすことができるだろうか……
土方は、無理だろうな、と心の内で溢しながらも、試験を受ける男の表情から僅かな期待を抱いていた。
綺麗に伸びた背筋から漂う清廉な姿は、木刀を構えるだけで緊張感を生み出す。
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