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澤田 鉄治は、幼少の頃から祖父に剣術を学んでいた。
鉄治の祖父の教えは厳しく、体罰を行う程である。
鉄治は、鬼の形相で自分を殴り痛め付ける祖父に畏怖していた。同時に、その祖父に憧れを抱いていたのである。
強き者への憧れと、畏怖。
それらが入り交じった時、鉄治に異変がおきた。
打たれることへの畏怖は、相手が強き者という証。
強き者から、真正面から受ける衝撃は、その強さを乗り越えようと思える瞬間でもある。
痛みに耐え、乗り越えるからこその快感がある、と鉄治は歪んだ解釈に至った。
故に……、沖田から受けた一撃は何にもかえがたい快感であった。
自分に向かって来る速さ、手に感じる重味、憧れと畏怖が交ざる一瞬に溢れた快楽は、声となって示される。
「もっと!!もっと打ち込んでぇ~」
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