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そんなこととは知らず、鉄治以外の者たちは口を半開きにさせながら目を見開いたままであった。
沖田を越えるかもしれないと、僅かな期待を抱いていた土方は、一瞬にして開いた口を閉じ、瞬きを数回繰り返す。
「もっと!激しくっ!」
目の前で叫びながら沖田の木刀を受け流す澤田に、土方の額の青筋が一筋、また一筋と増えてゆく。
一方、沖田はというと……
卑猥ともとれる声で自分の攻撃を受け流す澤田に、殺意が芽生えていた。
「あぁん!イイっ!」
遊ばれているのではないかと思える程に恍惚とした表情で、軽くいなされる沖田。
隙だらけのはずだというのに何故こうも打てないものか、と沖田は殺意がありながらも打ち込めないことに苛々している。
「本気で向かって来てぇ!!」
頬を赤くしながら沖田に言った澤田は、受ける一撃が更に重くなることを望んだ。
ただ、沖田の強さを受けとめたいだけである。
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