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「なんこれ?どうやって動かしてんの?マジで本物なん?」
「きゃぁぁぁ!引っ張らないでぇ!!」
思わずベタベタとさわってしまった。
警戒心バリバリの椛は椅子の上に立ち、これで触れまい。みたいなドヤ顔をしている。
「……」
俺も椅子の上に立ってみた。
そして再度犬耳をいじってみた。
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
「うぉあ!?」
触った瞬間暴れ始めた椛は俺の服を掴み椅子から床へダイブしやがった。
「痛っ!!」
「げぶらっ!?」
不自然な態勢で椅子から落ちたため、後頭部を強打する。
「サイテーです……。死ねばいいのに」
同じく頭をさする椛は何やら呪詛を振りまいていた。
* * *
グダグダになってきたので仕切り直し。
「まず一つ聞こうか。お前はどこに住んでる?」
「山に住んでます。哨戒兵をやっていました」
山?哨戒兵?
「山ってどこの山だ?大体、山に哨戒兵っておかしいだろう?」
そう言うと、少し戸惑うように椛が口を開く。
「ごめんなさい。私達が住む場所には山が一つしかなくて……」
つまり、名称がないのか?
「一応、妖怪の山と呼ばれていますが……」
「妖怪の山?」
痛い名前だな。日本昔話に出てきそうだ。
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