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「俺、妖怪なら河童が好きなんだよね」
実に唐突な話題転換だが、仕方あるまい。こいつの戯れ言を聞き続けるメリットも特にあるまい。
河童好きなのも本当だしな。
「河童ですか?」
しかし椛は微妙そうな顔をしていた。
「なんだよ、その顔は」
「いえ、変わった趣味をお持ちだなぁ、と」
いきなり襲ってきた自称天狗に言われたかねぇよ。
「だまれモフモフ。さっさと山に帰れよ。何だっけ?物の怪の山だっけ?」
「若干違う!……そうですね。帰って良いなら帰らせてもらいますよ。……じゃあ、事故とはいえ今回はごめんなさいでした。」
あれ事故なん?
そう思った時にはもう椛は玄関から出て行ってしまっていた。
そして翌日。……のさらに翌日。
そこには再び椅子に縛られた椛の姿が……。
「……何故戻ってきた?」
「……迷子っちゃいました」
迷子っちゃった、じゃねぇよ。
「それは良いけど、迷子で何でここに来たんだよ」
「だって……ここ以外知ってる場所がないんですもん」
何なのこいつ。超めんどくせぇ。
「なんだよそれ。自分の家にすら帰れない犬って……」
「犬じゃないですって!」
何でそこだけ元気に反応してんだよ。
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