第一章 俺とわんこ

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何と下劣な人間か。 無知で無垢な少女を捕まえて自分の物にしようとするなんて。 これが物語ならこんな野郎は正義の味方に倒されるんだろうね。 ……と、軽く自己嫌悪してみました。 結局反省なんかしてません。自分大好きです。 「じゃあ、買い物行くかご飯食べるか、どっちがいい?」 「はい……お腹空きました」 さも優しそうなお面を被り、椛に問い掛ける。 椛も椅子から解放したあたりから警戒心を薄めている。 空腹を訴える妖怪(自称)はこちらを見て 「あの、貴方のことは何と呼べばいいんでしょうか?」 と尋ねてきた。 「…………。」 さて、どうしたもんか。 「お兄さんと呼んでくれ」 口から出たのは、聞き方によっては重度の変態と思われても仕方ないような単語だった。 まったく。俺の口は少々正直すぎるな。 「はぁ、お兄さんですか?」 「イエス。そう呼んでくれたらとても嬉しい」 「もっと、名前とかを期待してました」 「そんなもの聞いたって意味無かろ?どうせたいした名前じゃない」 適当にはぐらかして台所に潜る。
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