第一章 俺とわんこ

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というか、今時テレビすら見たことないってこいつ本当に日本人?モグリじゃねぇの? 親子丼を口に運びつつ、向かいに座る椛を観察してみる。 「……むぅ」 そもそもスプーンが上手く使えてなかった。 「レンゲだそうか?」 「いえ、これで良いです。大丈夫です」 即答か。こいつ意外と負けず嫌い。 しかし、スプーンじゃ底が浅いせいか、ポロポロとご飯粒ご下に墜落している。 こいつの食い方だとマジで日が暮れそうだな。せっかくの日曜だし、まだ昼だし、買い物にでも行こうかと思ってたんだが。 ……よし。 「おい椛、ちょっとそれ貸してみ」 「え、ちょっと……」 椛からスプーンをひったくり、親子丼を適量掬う。 「はい、あーん」 「うえぇ!?」 スプーンを口に運ぼうとするが、寸前で椛に叫ばれて数粒の米がこちらに飛来する。 「何すんだ、はしたない」 「べ、別に食べさせてもらわなくて結構です!!一人で食べられますんで!!」 いや、食べれてなかったじゃんよ。 「じょ、常識的に男女がこういうのをするのは……」 「はいはい。要らんとこで常識とか発揮すんな。あーん」 「うぅ、あ、あーん」 渋々開けられた口に親子丼を放り込む。 「お、美味しっ」 そいつは良かった。あとお顔が真っ赤ですぜ。
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