序章

2/7
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
夜中。 12時を過ぎた道は怖いくらい静かだ。 上手く動かせない足とは裏腹に思考ははっきりとしていて、こんな人通りの少ない道を選んだのもこんなみっともない姿を他人に晒したくなかったから。 昔からへんなプライドだけ高かったんだ。ついでにテストの順位も高かった。 まったく。なんで誕生日にこんな千鳥足で歩いてるんだろうか、俺は? 11月生まれの俺は今日、周りのみんなとは少し遅れて成人の仲間入りを果たしたのだが、騒ぐの大好きなサークル仲間達は誕生日会とかこつけて居酒屋で宴会を開いてくれやがった。 一応主役だった俺は周りに言われるがまま酒を飲み、現在の状況に至っている。 いきなりあんな量飲ませてくるあいつらもだが、今は断りきれずに飲みまくった自分を叱りたい気分だ。 かくして俺の成人デビューは急性アルコール中毒にならないかと肝を冷やすという残念な結果に終わった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!