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「では、こんなのはどうですか?」
「おぉ、き、綺麗ですね!」
「でしょう?あとは、こんなのも手頃な価格でですね……」
「か、可愛い。……でも、着方がわからないです……」
「大丈夫。私が教えますから」
「本当ですか!なら、ちょっとだけ着てみたいです!」
「ふふ。なら、こっちの試着室で着替えましょう」
ーーーー何このアウェイな空気。
というか何であんなに仲良くなってんの?パッとみても仲の良い姉妹にしか見えねぇな。
いやぁ、最近の店はサービスがすごいのだね。
「お客様。椛ちゃんが着替えるまで少しお話ししませんか?」
「おおっと」
気配なく背後に現れる店員さん。俺只の一般大学生だけど、こんなに簡単に背後取られたことってないかも。
「お話し?俺、女装趣味はないんですけど?」
「いえ、セールストークとかではなく普通のお話しを。とても暇荘でしたので」
まぁ、その通りよな。
「服の着方は教えなくていいんですか?」
「もう教え終わりましたよ。そこまで特殊な服でもないので」
それもそうか。幼稚園児だって自分で服くらい着れるしね。
「ところで、椛ちゃんとはどういう関係で?まさか、本当に兄妹ではないのでしょう?」
そこまで話してやる義理なんざねーだろ、とは思いつつも暇なので答えてしまう。
「訳ありなんですよ。関係的には恋人の方が近いです」
「恋人ですか。……とってもお似合いですね」
「ありがとうございます」
そしてさっきの空白については何も聞きません。
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