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「ーーーー3万9千円になります」
「……カードでお願いします」
わーお。こんなに値の張るもんなんだな服って。俺なんてワンシーズンにつき1万かからないんだぞ。ILOVE UNIQLO。
だが椛も喜んでるし、まぁいいだろ。
「あの女の人、良い人でしたね」
「そうか?ただの変態に見えたが」
「貴方程ではないでしょう」
言ってくれるじゃねえかこの犬。
店を出た俺たちは次なる目的地、ホームセンターへの道を歩いている。
「ほーむせんたーってどんなお店ですか?」
「お、値段以上なお店だ」
「???」
緑の看板の某ホームセンターに到着すると、その店名の見て椛は「河童がでそうな名前ですね」と言っていた。何のこっちゃ。
「まずはベッドかな。好きなの選んで来ていいぞ?」
「はい。じゃあ一緒に選びに行きましょうよ」
「うおっ!?」
突然手を握られ素っ頓狂な声を上げてしまう。
「ど、どうかしました?」
「い、いや、何でも……」
柄にもなくドキドキしてしまい、自分の女性に対する免疫的なものを疑ってしまう。あ、そもそも彼女とか何年もいないからね。仕方ないね。
でもこんな子供にドキドキするとか、俺には犯罪者の才能があるんではなかろうか?
「早く行きましょうよ」
「ん……」
何故か気恥ずかしくなり、素っ気ない返事をしてしまう。
そんなこと気にしない椛は楽しそうに俺を引っ張る。
柔らかい手に手を引かれ、俺はグイグイと店の奥に入って行った。
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