序章

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「……」 さて、またこのパターンか。 只今自室の扉前。寒いです。 ほかほかと湯気をたてるお粥もこれでは冷めてしまう。 ……のだが。 「入りにくいなぁ」 あとお粥持ってるせいで扉を開けられない。 一先ずお粥のお盆を床に置き、ゆっくり、音を立てずに扉を開ける。 ……と。 「ふぁ……!」 なんつーか色っぽい声。勿論俺のものではない。 声を出す暇も、勿論抵抗する暇もなく俺は容易く押し倒された。 「いだっ……」 ここでようやく、押し倒した犯人が部屋で眠っているはずの少女であると気付く。 ……やばい、気がします。 「ちょっ……!何すんのさ!?」 必死に体をねじり、抵抗する。 しかし、少女を突き飛ばすことも、押さえつけられた頭を動かすことをもできない。 「くっそ……!!ぐっ……んん!!??」 口内に甘い香りが広がったかと思えば、途端に異物感に襲われる。 つまりキスか。 流石に気持ち悪い。……わけではなかった。 こういう形ではあるが、美少女にフレンチキスされたのだ。嬉しくない訳がない。 ただ、足元で倒れたお粥だけが気になる。
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