14人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………」
「…………」
沈黙がリビングを支配する。
昨日大人の仲間入り(二つの意味で)を果たした大学生と、椅子に縛り付けられた犬耳の少女(正体不明)。
お互い向かい合うように、しかし目は合わせぬように顔を伏せたまま椅子に腰掛けている。
「あの……」
犬耳が口を開く。
「……顔をあげるんじゃない。そのまま話せ」
だって恥ずかしいし。
「……分かりました。あの、この縄外してもらっても……」
「無理だ」
間髪入れずに答える。
この危険、というか淫乱な犬の縄を解くなんてそんな自殺行為は出来ない。できるわけがない。
「つーか、さ。お前、昨日俺にしたこと覚えてる?」
「ぼんやりとは……」
申し訳なさそうに言う犬耳。
なんか罪悪感が芽生えてきた。
「いや、そこまで項垂れなくてもいいんだって。こっちは何故にあんな行為に走ったのかとか、そういう理由が聞きたいだけだし」
そこまで言い切ったところで、ホワンホワンと昨日の情景が頭をよぎる。
いかん。雑念が大量生産されやがる。
最初のコメントを投稿しよう!