今更

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 適当に短編っぽいもの  苦手な人は注意 **  痛い痛いと泣き叫ぶ体にお前は自分だけを見て悲観し、また泣くのかと心は言った。俺は思った。消えたら楽になると。思うだけで行動に移すことなんか出来ない弱虫の体に刃物で傷を付ける。自称行為。意図はする人それぞれであるが俺は泣き叫ぶ体に悦びを感じるから。マゾヒストとは違う。ただ、苦しむ自分を見下すのが堪らなく楽しい。現実から目を反らし縺れる足を引きずるようにして逃げまどう俺を、俺自身が見下す。そして嘲笑し、安堵する。嗚呼、滑稽。口許が緩む。  食すのも触れるのも禁忌とされた熟した甘味に手を伸ばし、度胸試しの一種として指先で触れる。人目を憚り、好奇心から目を光らせる。ただ、それだけで満足だったのに。いつ俺は甘味を食べ終えてしまったのか、記憶が曖昧。ああ、終わった。なにもかも。  その日から俺は嬉々という感情を落とし絶望を手にいれた。  飽きた。 _
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