~がみ君視点*1~

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ギシィ・・・ギシィ・・・ 化け物が部屋に入ってきた。 荒い吐息と部屋を歩き回る音が聞こえる。 ギシィ・・・ギシィ・・・ギシ 「っ!!」 クローゼットの近くで足音が止まった。 見つかった・・・!? 心臓がバクバク言ってるのがわかる。 頼むから開けないで・・・!! ・・・ギシィ・・・ギシィ・・・ギシィ・・・バタンッ。 「行った・・・みたいだな・・・。」 クローゼットの戸を足で開けながらふひきーはふぅ、と息をついた。 はぁ・・・怖かった・・・。 もしあいつに見つかってたらふひきーと俺は・・・。 そう考えるだけで背筋が凍るような感覚がする。 「ありがとね・・・ふひきー・・・。 助かったよ・・・。」 「友人を助けるくらい、どおってことないさ。」 「・・・ふひきーらしいや。」 ふひきーが微妙にふんぞり返ってるのを見て、 クスッと笑った。 「なぜ笑う!!!」 それが癪に障ったのかふひきーは俺の両頬を思いっきり引っ張った。 「い、いはいいはい!! ふひひー!!ギブ!!」 俺が涙目になりながらそういうと満足したのか ぱっと両手を離した。 うぅ・・・すっげー痛かった・・・。 つねられた所を手でさすっていると ふひきーが口を開いた。 「・・・がみ・・・俺達さ・・・。」 ふひきーの声はとても低く、深刻そうだった。 「・・・俺達?」 「くわさん・・・置いてきてしまったんだが・・・。 彼は大丈夫だと思う?」 そういえばそうだった。 物が割れる音がしてくわさんが一人で見にいって そしてらすぐにあいつが来て・・・。 しかも・・・ 「・・・ぞのも。」 ふひきーが付け足すように言う。 ぞのも心配だ。 彼は逃げてる途中にはぐれてしまった。 ・・・二人とも大丈夫だろうか・・・。 けど、頭で考えていることと口に出した言葉は少し違っていた。 と、言うよりは自分に言い聞かせていた、 に近いところもあった。 「大丈夫だよ。 ・・・少なくともくわさんは絶対に大丈夫。」 「・・・なんでがみはそう思うの?」 ふひきーの質問に答えるのは難しくはなかった。 「だって、くわさんは土一揆だもん。」
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