プロローグ

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 突然だが、待ちに待った高校生活はたった今、破綻しそうです。 (やばい、これ完璧にアレだ……)  下腹部を抑え、額から冷や汗を滲ませている俺、明星 翔(みょうじょう かける)は今、大ピンチなのです。  朝食べたヨーグルトが賞味期限切れで腹を下し、しかもトイレは断水中で使えない。  ここから導き出される答えは一つ。  漏れそうです。  必死に我慢していますが正直限界。  だって下の門から飛び出そうになりかけてるのを力技で押し返してるだけですもの(不快に思った方すいません)。  さて、トイレが使えないと言っても一つ例外があります。  そう、学校。  学校には貯水タンクがあり、このような非常時にも対応出来るよう水を貯めているはず。  ならばと、早めに家を飛び出した俺ですが、一歩歩く度に押し寄せる腹痛。  もう少し、もう少しと摺り足気味に歩くこと十数分。  ようやく学校にたどり着きました。  喜んでいる暇はありません、急いでトイレを探さないと!  まだ早いのか人が一人もいないのは好都合。  奇妙な歩き方になっても誰も見てませんからね。  廊下を腹痛を限界まで抑える歩き方(さっき開発した)でゆっくり進む。  そして、ようやくそれを見つけました。(や、やった…とうとうこの時が!!)  俺は勢いよくそのドアを開けました。 「…………」  何か……女の子がいました。  しばしの沈黙の後。 「…………おい」 「失礼しました」  思いっきりドアを閉めて、俺は冷や汗だらだらでした。  なんてこった。  いくら焦っていたからといって間違えて女子トイレを開けてしまうなど、男として恥ずべき行為。  謝った方がいいと思うけど、俺も正直限界でした。  よし、気を取り直して男子トイレに……。  今さっき開けた扉をもう一度見る。  そこには『男子』の文字。  ガラガラっ!! 「おい、人の話も聞かずに逃げるとは何事だ」  トイレのドアが開き、さっきの女の子が出てきました。
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