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あるよく冷える冬の夜、
雪の積もった京の町を一人の男が散歩していた。
「さみぃ…、
今夜はいつにも増してよく冷えてやがんなぁ…」
吐いた息は途端に結晶になって、キラキラと光っている。
積もった雪に足を踏み込み、男はふと立ち止まった。
目の前、道の端に誰か倒れている。
彼は倒れている人に駆け寄り、声を掛けた。
「…おい、あんた大丈夫か!?」
反応は無い。
もう死んじまってるか?
男は横たわる身体に触れた。
「熱いな、呼吸も荒いみてぇだし…
今でこそ生きてるが、ほっときゃあコイツは…」
熱を帯びた病人の体を抱き上げると、男は帰りを急いだ。
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