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「まてっ、お前どこ行くんだ?」
部屋から出て行ったそいつを追いかけ、廊下にでると、誰かにぶつかってしまった。
「あれ、どうしたんですか土方さん。
そんなに慌てて、走ったら危ないですよ?」
「総司、すまねぇがこんな所で話してる場合じゃねぇんだ」
ぶつかった相手も無視して、追いかけて行くと…
「…あっ、お前そんな所で何して…」
顔を見て、話すのをやめた。
そいつは京の町を眺めて、涙を流していた。
そして、
「…おいっ、大丈夫か!」
「土方さん、何があったんです?」
「総司、医者呼んでこい」
総司が医者を呼びに走っていくのを確認すると、
なんとか抱きとめたそいつをもう一度抱き上げた。
思った通り身体が火照っているが、それ以前に軽過ぎる。
こいつ、もしかして女か?
顔は男みたいにみえるが、女に見えなくもねぇし…
「面倒なもん拾っちまったみてぇだな…」
そう呟くと、俺は部屋にそいつを運んだ。
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