第2章

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───これは、今から1週間前の話。 お兄ちゃんがどうしても送っていくと言うので、仕方なく送らせてあげてる最中です。 なんか急に“翔に会いたくなっちゃったからついでに送る”とか言い出した。 ……素直に送りたいって言えばいいのに。 最近送るための理由が雑になってきているような気がする。 しばらく風のなかを走り抜けると、学校の前に着いた。 「お兄ちゃんありがと!」 お兄ちゃんの前ではいつも、可愛い妹。 「んーん。理衣の為だから。じゃ、気をつけてなっ」 「えっ、翔に会わないの?」 ちょっとだけ、意地悪なことを言ってみた。 突然焦り出すお兄ちゃん。 ……はは、うける。 「あれ?理貴さんじゃないすか」 ……来た、翔。 今日もいつも通り眠そうだ。 「おー翔!今日はお前に会いたくてだな……」 「え、ちょ、冗談キツいっすよ。理衣の見送りでしょ?」 「……理衣には内緒な。頑張って理由作ったんだから」 ……うん。丸聞こえ。
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