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「じゃあな理衣!お兄ちゃん帰るからな。…お別れのハグ!」
「ぐえー。ぐるじい……」
このバカ兄は、人前も何も気にせず抱きつくんだから……。
ほらほら!
道行く人がチラチラ見てクスクス笑ってるよーっ!
「ちょ……お兄ちゃん…!」
なんとか力ずくで離れようとすると、腕をガシッと捕まれグイッと引かれた。
そのおかげで私は、お兄ちゃんの“お別れのハグ”から解放された。
「…理貴さん。大学遅れますよ」
私の手を乱暴に引っ張ったのはやっぱり、翔だった。
「おーやべ!ありがとな翔!……あ、くれぐれも理衣には手出すなよ?」
「ははっ、わかってますよ」
近くに翔がいて、本当によかった。
翔がいなかったらきっと、そのまま連れていかれてたよ。
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