第2章

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「じゃあな理衣!お兄ちゃん帰るからな。…お別れのハグ!」 「ぐえー。ぐるじい……」 このバカ兄は、人前も何も気にせず抱きつくんだから……。 ほらほら! 道行く人がチラチラ見てクスクス笑ってるよーっ! 「ちょ……お兄ちゃん…!」 なんとか力ずくで離れようとすると、腕をガシッと捕まれグイッと引かれた。 そのおかげで私は、お兄ちゃんの“お別れのハグ”から解放された。 「…理貴さん。大学遅れますよ」 私の手を乱暴に引っ張ったのはやっぱり、翔だった。 「おーやべ!ありがとな翔!……あ、くれぐれも理衣には手出すなよ?」 「ははっ、わかってますよ」 近くに翔がいて、本当によかった。 翔がいなかったらきっと、そのまま連れていかれてたよ。
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