アプリ 『マルチツール』

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 1  時は少し遡る。  枯葉が回転輪を放った瞬間  ガキィ、という音と共に腕輪が止まっているのが見えた。  工具箱が腕輪を噛んでいた。  その工具箱にははんぺんのようなサイズの歯が生え揃っていた。  「我が能力『バイト・クラッ ク』」  手元に戻した腕輪には巨大な歯形がついていた。  「趣味の悪い能力ね」  「悪いが遊んでいる暇もない。回収目標が来た」  習志野千葉には何が起こっているのかが解らない。目の前にあるものが非現実的すぎる。  「来るな!習志野!」  枯葉は千葉に向かって叫ぶ。まるで親が子を守るように。  「人の心配よりも」  枯葉の鳩尾に杞憂淘汰の拳がめり込んだ。  「か・・・・・・っ!うぐ!?」  「貴様の心配をするといい」  男はゆっくりといい放つ  「『適合者』には傷をつけるなと言われているのでな。お前がいてはそれも難しくなる」  少女は動かない。動けないのだ。大の男の一撃を受けて立ち上がるのは難しい。    2  「てーーーーメェ、ふざけんな!!」  男の頭に跳び蹴りが襲いかかってきた。習志野千葉だ。  「いい蹴りだ」  しかし、千葉の跳び蹴りを受けてもその男は動じない。それどころか、その足を掴んで千葉を放り投げた。
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