習志野 千葉

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 「待て待て待ちやがれ!」  千葉は満員電車に向かって叫ぶ。 だが、人混みで上手く体が進まな い。そうこうするうちーー    「・・・・・・終わった」    ーー終わってしまった。去ってい く電車を恨めしそうに見送っている と、    「おっはよーセンバ!あっれー? お前も遅刻?」    「・・・・・・蔵井」    この男は蔵井栄太(くらい えいた) という。もう夏だというのに制服の中にファーのついたパーカーを着込むという季節感ゼロのファッションである。    「いっやぁーセンセには後で二人で謝りにいこうぜぇ。一人は心細いからなぁ!」    「・・・・・・あのなぁ」    こいつといたら説教がさらに長くなると千葉は思った。なぜならこいつはこの前遅刻の反省文書かされたときにネットで、    『遅刻の反省文を書くのですが誰か代わりにやっといてください。』    という書き込みをしたら、それがばれて暑苦しい体育教師の説教二時間スペシャルを受けてなおこうして平然と遅刻を止めないのだ。当然教師からはいい目で見られているはずもなく、こいつと説教を受ければ間違いなく説教タイムが  
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