おててつないで

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僕には人の心が読める。 だけど、ご多分に漏れず制限付きだ。何かをするには必ず代価を支払う必要がある。食堂で学食を食べるには食券を買わなくてはいけないし、良い成績を取る為には勉強しなくてはならない。呼吸をするのにも僕らはエネルギーを使う。 だから、僕の読心の場合はそれが『相手と手を繋ぐ』ことなのだ。 これは結構便利で、たとえば君に誕生日が近い友達が居たとき、手を繋いでしまえば彼の欲しい物がバッチシわかってしまう。当日、それを渡せば、晴れて君は"物のわかる奴"だ。 人に喜ばれるというのは、結構気持ちの良い事だよ。 でも、これを女の子に使った事はない。だって手なんか、そんな、ねぇ? まぁ、もちろん、たまたま手が触れ合って心を読んでしまった――なんて事はままあるけど、意図的に女の子に使った事なんてないしつまりは女の子と手を繋いだ事なんてない。 だけど、今日でそんな僕ともオサラバだ。少なくとも、そんなつもりだ。
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