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女性客
「珍しいわね蒼が同伴断らないなんて。てっきり断られると思ってたから驚いたわ。」
蒼
「ははっ、自分で誘ったのに?美佐さん可愛いな。」
女性客
「煩いわよ。どうせ店長さんに太客は大事にしろって言われたんでしょ?」
蒼
「…、そんな事無いですよ。」
女性客
「まあ良いわ。今日はアフターまで付き合ってもらうから。」
並びながら歩んでいた彼女の足が不意に止まる。
蒼
「……美佐さん?」
女性客
「やっぱりやめた。嫌々な貴方を誘っても詰まらない。」
彼女の眸が揺れる。
鎖で繋がれた檻の中で彼女は昔から俺の面倒を見てくれた。だからか、彼女は俺の全てを察している気がする。ゆっくりと手を伸ばす。駄々をこねた彼女にはこれが一番だ。
蒼
「美佐さん、駄目だよそんな顔しちゃ。美佐さんとの同伴やアフターを俺は嫌々ながら付き合わない。美佐さんは特別だから。」
伸ばした手は彼女の華奢な腕を掴み其のまま自分へと引き寄せる。優しく抱き締めれば甘い香水と共に嬉々とした声が返ってくる。
女性客
「うふふ、其なら良かった楽しみだわ。ちゃんと付き合ってよね?」
笑みを浮かべる彼女に己も笑みを浮かべ再び歩き始める。仲が良い恋人の様に腕を絡めて。押し潰した己の心をどうやって癒そうか、そんな事を考えながら店へと向かう。浮かぶのは友人達の顔…と、いうのは内に秘めて。
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