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日曜日、朝。
ベッドから起きて歯を磨き、着替えて朝食を作る為に台所に直行する。
「つきや兄ちゃん……おはよぅ……」
眠い目をこすりながら、パジャマ姿の妹が二階から台所に降りてきた。
「おはよう、星羅。もうすぐ朝ご飯できるから着替えてきな」
ちゃんと火を止めて、エプロンを脱いで、パジャマ姿の妹を部屋へ退却させる。
「星羅、しっかりしてくれ。今日もいつものメンバーが遊びにくるらしいから」
「むぅ……兄ちゃんのあほ……」
目をこすりながら階段を上がっていく妹を見送る。
すかさず、急いでできた朝食を机に並べて、自分の身だしなみを整える。
「うしっ! 準備完了っ!」
彼は“高嶺 月夜”。
月夜と書いて“つきや”と読む珍しい名前。
妹は“高嶺 星羅”。
生まれてから数回しか髪を切らなかったせいか、長い綺麗な黒髪が特徴的だ。
「あ、携帯鳴ってる。……白崎か」
はぁっと溜め息をつき、通話ボタンを押す。
『もしもし、白崎です。月夜さんですか?』
「お前……誰の携帯か確認して電話かけてるんじゃないのかよ?」
『あ、はい。確認しましたよ。アドレス帳の登録者番ご……』
「確認すんのは登録してある番号じゃなくて、その番号の人の名前だよ馬鹿野郎!」
今電話で月夜をイライラさせているのは“白崎 優奈”。
彼女は月夜のクラスメートであり、月夜と同じ委員会、同じ部活にも入部、または所属している。
イライラする理由として挙げられることはたった一つ、それは人一倍“ぬけている”こと。
『ですが……私、アドレス帳の登録者番号で誰かを覚えていますので……』
だが、案外天才少女だったりするから困る。
「で、要件は?」
『はい。今、神池さんと篠塚さんと椹木さんの三人と一緒です。……あっ! 何故か柳楽君が合流しました。手違いで早く合流し過ぎたので、とりあえず今から二時間後に……』
沢山ツッコむところがある為気になるが、これ以上は会話が辛い。
「黙って早く来い……以上だ」
それだけ言って限界がきた月夜は、向こうが必死に返事してる途中で電話を切った。
「どうしたの兄ちゃん?」
「星羅……人数的に、後……人物的に今日は地獄になりそうだ」
着替えて降りてきた星羅と一緒に、月夜はさっきの苛立ちを抑えながら朝食をとるのだった。
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