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入院が決ったときは、ただ純粋に嬉しかった 今までの事から解放されると思うと涙が出てきそうになるから堪えるのに必死だった その時にお母さんの顔が揺らいだのはきっと、しばらく私の顔を見なくていい嬉しさがあったからだろう 人間はすぐに心にもない嘘をいう 人を守るための嘘や助けるための嘘ならまだ良い だけど大概は人を陥れるための嘘や傷つけるための嘘をつく 嘘嘘嘘嘘……… 世の中全てが『嘘』の世界 だから私みたいに人間不信になっても可笑しくはない そうやって人を信じる事が出来なくなって、死んでいく人もいる 私だって本当は死にたくて仕方ない だけど心のどこかでは期待している馬鹿な自分もいる 『きっといつかは助けてくれる人がいる』 って そんな人がいるわけないのに 今までだっていろんな人に裏切られてきた この病院の先生たちも、千秋先生だって…… それでも知り合いがいない病院では、少なからず期待ができる せめて嫌われないように努力しよう
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