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沖田の言う近藤先生とは、試衛館の道場主である天然理心流三代目近藤周助のことである。
「近藤先生は私よりも十倍強く、勝五郎さんは私より百倍強いですよ」
沖田は冗談まじりに言った。
平助はその言葉を信じて、明くる日沖田の紹介で近藤勝五郎と竹刀で立ち会った。
しかし思いもせず呆気なく勝五郎に勝利を収め、食客として召し抱えられることになった。
なぜ勝五郎には勝てて、沖田には負けたのか?
ふに落ちない平助は、天然理心流剣術を学ぶ決意を固めた。
この時、藤堂平助十二歳。
沖田総司十四歳。
近藤勝五郎二十二歳。
この出会いが平助の運命を大きく変えることになる……。
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