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――文久三年。
あれから七年の月日が流れた。
すっかり試衛館の一員となった平助は今年で二十歳になる。
「山南さん。蕎麦食べに行きませんか?」
平助の誘いに「いいですね」と笑顔で返す。
山南とは試衛館の門弟の一人、山南敬助である。
平助より十一歳が上で、優しく剣も出来ると思いきや勉学も出来る、何処か大蔵先生と重なり兄貴のような存在だった。
「それなら、近藤先生や土方さん達も呼んできましょうか?」
山南は言った。
この頃、近藤勝五郎は近藤勇と名を変え天然理心流四代目を襲名していたので、この場合の近藤先生とは周助ではなく勇をさした。
「では俺が呼んで来ます」
平助は道場の稽古場へ走った。
この試衛館には平助を入れて九名の剣豪が在籍していた。
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